資金調達額の決定と調達方法の優先順位
資金調達を選択する前に
起業や独立開業する際の資金は、できるだけ抑えることが重要です。どんなに良い起業アイデアで、万全の準備をしたとしても、失敗することはよくあることです。軌道修正を図る際の資金を残すためにも、再起を図る際の資金を残したりその際の借金などを減らすためにも、資金は少なくできればそれに越したことはありません。
そのためにも、起業や独立開業する際の資金が自己資金だけでは賄えない場合は、資金調達を考える前に、まず起業や独立開業するタイミングを延ばし給料をためたり、資産を売却したりして自己資金を増やすことを考えましょう。
それでも足りない場合は、必要な資金を減らすことを考えます。何かしら節約できるものはないか、規模を縮小することはできないか、業態を変更することで起業や独立開業する際の資金を減らすことはできないかを考えます。もちろん事業の根幹に影響するような節約はするべきではありませんが、必要のないものはないか、少しでも安くする方法はないかを考えることは、独立後のコスト削減にも通じるものであり、当たり前に行っていくべきことです。
この自己資金の増額と起業や独立開業に必要な資金の減額ができない場合に、初めて資金を外から集めることを考えます。
しかし、この時もまずは協力者や賛同者から設備や備品をもらったり、オフィスや店舗を無料で貸してもらったりできないかを考え、資金調達をする額を極力減らす方法を考えます。
そして、それでも足りない場合に初めて、資金調達することを選択肢に入れましょう。
資金調達方法の優先順位
起業や独立開業する際の資金調達方法は、以下の2つの方法に大別されます。
- 融資を受ける
- 出資を受ける
つまり、誰かから必要資金を借り、利息という形で借りた対価を返していく方法と、誰かから必要資金をもらう代わりに、会社などの法人の所有権を一部または全部を株式という形で渡すことで対価を返す方法です。
起業や独立開業する際の資金調達方法において、一概に融資と出資のどちらが良いかは言えませんが、こちらでは、どちらを優先すべきか4つの基準を紹介しておきたいと思います。
リターンの問題
起業や独立開業する際の資金調達方法を選択する際の1つ目の基準は、成功した際のゴールをどうするかです。
株式上場や会社の売却にし、株の売却益を得ることをゴールとしているのならば、持っている株式がより多い方が得られる売却益も比例して大きくなるので、株を放出しないで済む融資を優先した方が良いでしょう。
経営権の問題
起業や独立開業する際の資金を外部の人から調達すれば、融資であれ出資であれ経営にある程度以上関与されるようになることは覚悟しなければなりません。
しかし、融資はあくまで金銭貸借上の関係なので、返済が困難になりそうだと判断されない限り、経営に関与してくることはあまりありません。一方、出資者はその法人の所有者になるので、所有者として経営に関与してくる可能性は高くなります。ですから、経営を自由にやりたい方や、経営に口を出されたくない方は、融資を優先した方が良いでしょう。
相乗効果の問題
基本的に融資は国や地方自治体、民間金融機関などから受けることになりますが、出資は個人や企業など、様々な相手から受けることができます。
そのため、こちらの欲しい販売ルートや技術をすでに持っている企業と関係性を深め、こちらの不足している資源を貸してもらうことでより早くより確実に成功するために、対象の会社から出資を選択する手段もあります。
出資は資金調達にとどまらず、必要な資源を得るための手段としても利用できることを覚えておきましょう。
金額の問題
起業や独立開業する際の資金調達方法を選択する際の最後の基準は、調達する資金の金額です。
一般的に、調達する全額が大きいほど出資が適しており、金額が小さいほど融資が適していると言えます。
融資の場合は、通常、無担保で借りられるのは1,000万円が限度で、それ以上の額は担保が必要になってしまうので、担保がなければ1,000万円以上の資金調達はできないと考えられます。
一方、出資では担保ではなく事業計画の良し悪しでその額が決まるので、良い事業計画を示すことができれば、調達できる資金に限界はありません。ただし、調達したい額が数百万円以内の場合は、出資者にとっては、リターンとなる会社の所有権が少なすぎて魅力が小さくなってしまうので、出資は、小額の資金調達には向かないと言えます。