ベンチャーキャピタルや投資銀行の出資を利用した資金調達方法

VCや投資銀行の出資を利用した資金調達方法

出資を利用した資金調達方法

起業や独立開業する際の資金調達方法で創業融資ではなく出資を選択することもあると思いますが、起業アイデアによっては、出資を受けること自体が困難な場合もあるので注意が必要です。

ベンチャーキャピタル[VC]や投資銀行は、出資した会社が成功し株式上場や事業売却をした際に所有株式を売ることで出資した資金を回収するとともに、利益を売ることを目的としているため、当たり前のことですが株式上場や事業売却の可能性が低い起業アイデアには出資をしてくれません。
つまり、フランチャイズや多店舗展開を考えていない個人経営のカフェやレストラン、ショップなどでは、そもそもベンチャーキャピタルや投資銀行の出資対象になりえないのです。

では、しっかりとベンチャーキャピタルや投資銀行の出資対象になる起業アイデアで、資金調達方法として出資を選択した場合、どのようなところから出資を受けることができるのでしょうか。

出資を受ける調達先を選ぶ

起業や独立開業する際の資金調達として出資をしてくれる機関は、多くの方のイメージより様々な機関があります。
例えば、民間のベンチャーキャピタル、国が監督し、地方公共団体などが出資する中小企業投資育成株式会社、様々な出資者が共同で設立・運営する投資事業有限責任組合、さらに、他人投資家[エンジェル]をネットワークするベンチャー支援団体など出資を目的にした機関はもちろん、通常の事業会社や個人なども十分出資の調達先になり得ます。
例えば、2000年にソフトバンク株式会社の孫正義社長がアリババ株式会社に20億円を投資し、その株式の時価総額がアリババ株式会社が上場する頃には5兆円にまで膨らんでいたのは有名な話です。このように、出資のための専門機関でなくても、様々な企業や個人が出資をしてくれる可能性があります。

起業や独立開業する際の出資を受ける調達先の選択では、出資額ばかりが気になりがちですが、その他に以下のポイントがあることをしっかりと理解しておきましょう。

出資後の持ち株比率

株式会社において、株式は会社の所有権であり、出資を受けることにより株式を渡すことで様々な制約を受けることを肝に銘じておきましょう。
出資の際に、その提供される額ばかりを気にする方がいますが、渡すことになる株式の比率によっては、成功した際の得られる利益が変わってくるのはもちろん、後々の会社の運営も変わってくるので注意が必要です。
以下に持っている株式の比率によって生じる権利を上げておくので、出資を受ける際の参考にしましょう。

持ち株比率:100%
対象の会社の意志で決定を、全て行えます。
持ち株比率:67%以上(2/3以上)
株主総会において定款の変更、取締役の解任、合併や解散など非常に重要な事柄を決める特別決議が可能になります。
持ち株比率:50%以上
株主総会の普通決議が可能になります。過半数の場合は対象の会社において一番権力を有する人となります。
持ち株比率:33%以上(1/3以上)
特別決議を単独で阻止することが可能となります。非常に大きな権利となり、拒否権とも呼ばれます。
持ち株比率:10%以上
会社の解散請求ができます。
持ち株比率:3%以上
株主総会の召集、帳簿の閲覧ができます。
持ち株比率:1%以上
株主総会において議案を提出できます。

出資先の会社との相乗効果

ベンチャーキャピタルや投資銀行も、出資をした会社が成功してくれなければ投資が回収できないので、様々な援助をしてくれますが、考えている事業アイデアと相乗効果のある事業を行っていたり、資源を持っている事業会社から出資を受けると、大きなメリットがある場合があります。

例えばパソコン用のセキュリティソフトを販売しようとしている場合は、大手パソコンメーカーに出資を受ければ、その会社が製造しているパソコンにデフォルトで対象のセキュリティソフトをインストールしてもらえるかもしれませんし、そうでなくても初期画面に対象のセキュリティソフトの購入画面へのリンクを用意してもらえるかもしれません。
コーヒー豆の輸入・販売業をしようとしている場合、カフェチェーンに出資を受ければ、そのカフェチェーンのコーヒー豆を一手に請け負うことができ、最初に大口のお客さんを手に入れることができる可能性があります。

このように、出資は「創業資金を得るための手段」としてだけではなく、「成功への資源を得るための手段」としても利用できることを理解しましょう。

最後に出資を受ける際の注意点として、どんなに出資金が少なかったとしても出資を受けた際は、必ずそれを法人の資本金(出資金)や資本準備金に組み入れることを忘れないようにしましょう。それをしないと、出資法違反に問われる可能性があるので、細心の注意が必要です。